ザ・グレート・展開予測ショー

THE MOVIE「踊るゴーストスイーパー」10−5


投稿者名:3馬鹿鳥男
投稿日時:(00/ 8/26)

真実(5)副題 午前7時の笑い。

時は少し戻り、まだ美神達が事務所を出発してまもない朝7時前、織田家のキッチンでフミが朝御飯を作っていた。
「今日はお客さんがいっぱい居るから、作りがいがあるわ。」
フミは鼻歌を歌いながら軽やかに料理をした。
食卓のテーブルには美味しそうな朝食が盛り付けられていく。
台所にはフミが一人・・・もうそろそろほたるが起き出して来る頃だ。
フミが3品目を作り終えたとき、ポケットに入っていた携帯電話がドラエモンのテーマソングを歌い出した。
「あら、こんな朝早くから誰?・・・あっ・・・師匠・・・奥様からだわ。」
フミは慌てて鍋の火を消し、辺りに人影が無いのを確認してから台所の勝手口から外に出た。
「はいフミです。おはようございます。奥様・・・・えっ今すぐですか?・・・・
・・・でも・・・え・・・お嬢様が・・・・はい・・・わかりました。・・・そうします。
・・・では失礼します。」
フミは携帯電話を切り、溜め息を吐いた。
(どうしましょう・・・お嬢様がこちらに向かっているって・・・困ったわ。)
お嬢様・・・言わずとしれた「六道冥子」のことである。
あの歩く核弾頭がこの屋敷に向かったらしいので連れ戻してきてほしいと六道当主から軽く言われて困惑する。
それに至急戻ってこいなんて・・・何やらあわただしい。といっても、六道当主はのほほんとした口調だったが。
フミは小さい声で呟く。
「さて・・・どうしましょう。」
「何が?」
突然背後から声をかけられ飛び上がる。
「きゃ・・・ほたるさん・・・いつのまにそこに・・・。」
フミの背後・・・勝手口のところにほたるが首を傾げて立っていた。
ほたるは昨日とうって変わって薄手の白のブラウスに白のロングスカートを着ている。
フミは少しぎこちない笑顔をした。
「・・・おはようございます。今日もいいお天気で・・・」
ほたるは最後までフミに言わせなかった。
「今の電話は?・・・誰から?」
フミは言葉に詰まり、首を傾げているほたるを見る。
「・・・いえ・・・なんでも・・・いや・・・あの。」
「それにこんなところで・・・なにしていたの?」
フミは咄嗟にすぐそこにある裏の倉庫を指す。
「・・・いえ・・・裏の倉庫から玉ねぎを出そうとして・・・それで・・・」
別にやましいことはないのだが、何故かほたるの覇気に押され目をそらす。
ほたるは「そう」と呟き、私も手伝いますと倉庫に向かった。
フミはしかたなく、ほたると並んで必要も無い玉ねぎを取りに行く。
ほたるは倉庫に入り、玉ねぎを1つ掴みながら訊く。
「フミさん・・・今の電話は?」
フミは前掛けを袋状にして玉ねぎ数個を抱え、困惑したようにほたるを見た。
「・・・実は実家からの電話で・・・母が夏風邪をひいたらしく倒れたと連絡が・・・」
ほたるは目を見開く。
「それは大変だわ・・・それで帰るの?」
「・・・ええ、朝食を作りしだい・・・それで2,3日お暇を頂きたいのですけど・・・」
フミは勝手口に向かう。ほたるはその隣りに並ぶ。
「・・・それはかまわないわ。おばあちゃんには私の方から言っておくから・・・早いほうがいいしね。」
「・・・ええ。」
フミは元気なく呟く。
ほたるは元気を出してとフミを励ました。
フミは笑顔でそれに答える。
(ごめんなさいね。ほたるさん・・・嘘ついて・・・)
フミは心の中でほたるに謝る。
やはり嘘を吐くのは苦手だと考えながら勝手口から台所に入ろうとした・・・が、ほたるがその前を塞いだ。
フミは首を傾げてほたるを見る。
「・・・どうしたんです?ほたるさん。」
ほたるは薄く笑った。
「・・・・そう言えばフミさん・・・ゴーストスイーパーでしたよね。」

部屋のハト時計が7時の刻を鳴いた。
「横っち。起きているか?」
銀一はおはようと言いながら元気よく横島が寝ている客室に入る。
横島は簀巻きのままベットで寝ていた。
「・・・よく簀巻きのまま寝ていられるな。」
銀一はあきれたように親友の寝顔を見て呟いた。
もちろん横島は好んでこの格好をしているわけではないのだが・・・あまりにも似合っているから笑えてくる。
このまま鑑賞してもしかたないので横島の顔を抓った。
「おきんかい!こらっ」
「・・・・いててて。美神さんすいません。もう触りませんから。」
横島は寝ぼけて変なことを呟く。
銀一はどんな夢をみているんやと苦笑する。
「ほらっ朝やで横っち。おきい!」
今度は顔を叩いた。
「・・・いや・・・初めての時はやさしくして・・・」
今度は気色悪い声を出す横島であった。
銀一は一気に鳥肌が立ち、思わず横島の顔に蹴り入れる。
「きちょわいるいやっちゃな!」
「・・・いて!なにする銀ちゃん!」
さすがに今ので目が醒めた横島は、銀一を睨んだ。
銀一はおのれが悪いんやと横島の簀巻きを解く。
「・・・何故俺が悪い?」
横島は簀巻きで固くなっている身体をほぐしながら文句を言う。
銀一は笑って誤魔化した。
「ええやん。ほら飯、食いに行こうぜ。」
「・・・よくない。」
横島はぶうたれて、銀一を見る。どうも寝起きで機嫌が悪いみたいだ。
さすがにちょっとやりすぎたかなと考えた銀一であったが、横島の足跡がついた顔を見たら笑ってしまった。
横島は再び文句を言おうとした時、おキヌが部屋に入って来た。
昨日とは違う服装・・・ひまわりが大きく描かれている黄色いワンピースを着ている。
「おはようございます・・・どうしたんです?横島さんその顔。」
横島は不機嫌そうにおはようと答える。
「どうもこうも銀ちゃんが・・・もういいよ。・・・それよりどうしたのその服?」
「・・・これですか?・・・どうです?似合っていますか。」
おキヌは良く見えるようにクルっと回る。
「似合っているよ。おキヌちゃん。」
銀一が笑顔で答える。
おキヌはぼっと顔が赤くなるのがわかった。
「・・・なんだか近畿君にほめられると恥ずかしい・・・これ・・・先程ほたるさんが貸してくれたの。」
銀一はへ〜と呟く。
横島は首を傾げた。
「よくサイズが合ったね・・・ほたるちゃんの方が細いだろうに。」
「・・・どうせ私は太っていますよ。」
おキヌはい〜だと変な顔をした。それを見た銀一はくすくす笑う。
おキヌは再び顔を赤くした。
「・・・以前、フミさんが間違って1ランク大きいサイズを買ってきてしまったそうで・・・それで。」
横島はなるほどと呟く。
「・・・それじゃあフミさんが作った朝御飯を食べに行きますか・・・と、その前に。」
横島はポケットからペンダントを出しておキヌに渡した。
「・・・これ・・・後で美神さんに渡しておいて。」と小声で呟く。
おキヌはわかりましたとペンダントを受け取り首から下げた。
銀一はぴゅ〜と口笛を吹く。
「やるな横っち。早速新しい服に合うプレゼントか?」
横島は顔を赤くする。
「ちゃう。これは美神さんのもので・・・」
銀一はわざとらしい驚いた表情をする。
「何?美神さんへのプレゼントをおキヌちゃんにあげたんか?それはちょっとひどいとちゃうか?」
「だから〜」横島は慌てふためく。
おキヌは思わず吹き出す。銀一もくすくす笑う。
横島はからかわれていることに気付き、こいつらはと笑った。

司令室のデジタル時計が7時ちょうどを表示する。
ICPO日本支部司令部には、今日の作戦の実行部隊が集まっていた。
今回の総司令官である美神隊長・・・美智恵はそれらの面々を鋭い目で見渡す。
「今、7時をもって作戦開始とします。アタックは・・・美神令子(餌)が乗り込むのを確認し、その10分後です。」
アタック部隊の指揮官である西条は美神に発言をする。
「先生・・・でもまだ「織田ほたる」が犯人とは決まっていないです。」
「・・・ええ。でもここで先手を取らないことにはまた犠牲者を出すことになるわ。」
「・・・でも証拠も無しに・・・ほたるの任意同行ではいけないのですか。」
「それこそ。令状がないと。」
美智恵は苦笑する。
「令状を求めていたらそれこそ取り替えしのつかないことになりかねないわ。」
「・・・そうかもしれませんが。」
西条は渋い顔をする。
美智恵は厳しい表情をする。
「今回の作戦はすべて私が責任を取ります。西条君は上級魔族を退治することだけを考えてちょうだい。」
「・・・わかりました。」
西条は実行部隊の面々に振り返る。
「聞いた通りだ。復唱するぞ。今回の作戦は魔族「カミーラ」を退治もしくは捕獲とする。
・・・「カミーラ」については正直ほとんど情報がない。よって怪しい気配を感じたら即各自で対処をすること。
敵は何に化けているかわからないからな。
アタックの予測時刻は午後2時・・・それまでに結界部隊は屋敷周辺・・・周囲2km四方に結界を張る。時間がないから素早く行うこと。
陽動部隊はもし敵が出現しら霊力拡散スモーク弾を撃ち込み、敵の注意をひく。
あと、各部隊間の連絡は10分毎必ずすること。・・・以上」
実行部隊と西条はすばやく司令室を後にする。
司令室には美智恵一人だけとなった。
美智恵は卓上の作戦内容をもう一度見る。
「・・・小竜姫様やワルキューレ・・・神族、魔族側からの支援は今回は無い・・・無理もないか・・・
魔族を飼っている一族なんだもの・・・でも相手は多分上級魔族・・・勝てるかしら。」
美智恵は溜め息を吐き、腕を組んだ。
そして、不敵に笑う。
「・・・私は狙った獲物は絶対に逃がさないわ・・・今までもそしてこれからも。」

真実(5)終わり。
真実(6)に続く。

なんだか時間が分刻みになりそう(苦笑)。

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