ザ・グレート・展開予測ショー

霧の街より来る悪魔(4)


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(00/ 8/21)

 唐巣の教会には、唐巣、ピート、エミ、冥子、カオスにマリア、計六人がいる。
「すいません、急に集まっていただいて」
ピートが手短に挨拶する。
「んん〜、ピートォ、気にしなくっていいのよ、エミ、いつでも駆けつけるわ〜」
エミはすかさずピートに腕を絡め、甘い声を投げかける。
「しかし急に呼び出しかけて何のつもりじゃ」
エミに甘えられ、うろたえるピートに尋ねるカオス。
「冥子〜、玲子ちゃんが来るって言うから〜〜、来たんだけど〜〜〜」
「ええ、そろそろ来られるかと思いますよ。で、お呼び出しした訳は・・・」
「それは私から話そう」
ピートの声をさえぎって、唐巣が言う。
「まずある人にあってもらいたい、藤田さん」
唐巣が促すと、奥の部屋から金髪の淑女が姿をあらわした。
年は四十代前半、ワインレッドのスーツを着こなす、キャリアウーマンを思わす女性だ。
「はじめまして、私里子・s・藤田と申します。これでも占い師を生業としております」
「イギリスの方では普通の占いはもちろん、犯罪捜査にも協力していらっしゃる、一流の占い師だそうです」
「で、その占い師がなんのようなわけ?」
エミがピートの腕をしっかりと抱えたまま尋ねる。
「彼女は最近ある連続猟奇殺人の犯人を霊視してね。まぁ犯人を見つけることは出来たんだが、その犯人が、かなり厄介ないてだったんだ。ドクターカオスならよよくご存知でしょう?霧の街の殺人鬼・・・・」
「なんだと!」
がたん
カオスが勢いよく立ち上がって、怒鳴る。
「奴ってだれなわけ?」
「ジャックリッパー。19世紀イギリスを震撼させた大量殺人鬼、そして百年戦争時や、二次大戦時のドイツにも暗躍していたという、人の殺劫を糧に生きる文字通り悪魔のような奴じゃ。その残虐さはドラキュラ伯爵以上といわれている」
「占っていたとき、奴に気付かれてしまったんです。私の警備に付いて下さっていた方達は殺されてしまい、身の危険を感じた私は何とか父の実家のある日本へたどり着くことが出来ましたが、ここに来る途中、連れてきた弟子も殺されてしまい…うぅ」
「しかし厄介じゃぞ、ジャックリッパーは自分の姿を見たものを皆殺しにすることによってその存在を隠してきたような奴じゃ、…危険なんてものじゃないぞ」
「気合入れてかかんないと、やばいってわけ?」
「よく〜〜、わかんないけどぉ〜〜〜・・・」
バタン
冥子が言ったその時、教会の入り口が開け放たれて、美神たちが飛び込んでくる。
そこには傷を負ったシロの姿もあった。
「如何したのだね、美神君!」
「奴よ、ジャックリッパーにやられたわ!!」
美神は手短に何が起きたのかを説明した。
「かなり強力な呪いなわけ。このままじゃかなり危ないわよ」
エミがシロの傷を見ながら言う。
「呪いをかけた本人を倒さない限り治らないわけ」
「今は霊気を当てつづけて押さえ込むしかないわけか」
「奴を探さないといけませんね」
ピートが緊張の面持ちで言う。
美神がそれに答えた。
「その必要はないわ」
「その通りじゃ。奴は必ず来る!!」
確信を持ってカオスが言った。
「マリア、奴が来たらすぐ教えろ」
「イエス・ドクター・カオス」
「なんかカオスが気合はいってるなぁ」
横島が呟く。
「あら玲子ちゃんじゃない?お久しぶりね」
藤田は美神に気付いて話し掛けた。
「あ、藤田のおば・・・・藤田さん」
美神は彼女を見て一瞬口篭もり、言った。
「如何したの、こんなところで?」
「あれ、お知りあいだったのか、美神君」
「ママがあっちで仕事してたころ、何度か会ったことがあるの。ほんと久しぶりだわ」
「お母さんは元気?」
「ええ。二人目を無事出産して、今はオカルトGメンで働いてるわ」
「じゃあ、今度遊びにいくって言っておいて」
「ええ。ママも喜ぶわ」
美神は笑って答える。
「美神さん、そんな談笑してる場合じゃないでしょ?」
横島が口をはさむ。シロのことがよほど気になるのか、落ち着きがない。
「焦ってもしょうがないわよ。横島君はいいからお札の用意お願い」
「分かりました」
慌てずとも奴は必ず現れる、という核心が美神にはある。
第二ラウンドは近い。
(5に続く)






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