ザ・グレート・展開予測ショー

THE MOVIE「踊るゴーストスイーパー」10−4


投稿者名:3馬鹿鳥男
投稿日時:(00/ 8/19)

第10章「真実」(4)

エミは首を振って、愕然と呆けている美神の肩を叩いた。
「令子・・・それは違うワケ。私は彼女に乗り移った魔族はルシオラでは無いと思うワケ。」
「・・・エミ・・・」
美神は精気の無い表情でエミを見る。
「・・・よく考えてみてよ・・・なんで彼女はこんな秩父の山奥で倒れているのを拾われたワケ?
もし、ルシオラだったら真っ先に横島君のところへ行くと思わない?」
美神は少し目を大きくし、そうだわと呟く。
エミは美神を元気付けるように、にこっと笑う。
「・・・私が思うに最近霊能力者を襲っている魔族・・・織田家に支配されていた魔族ではないかと思うワケ。
・・・織田家を逃げ出したはいいが、アシュタロスの妨害で満足に魔力が使えなく、彼女の病院前で力尽きた・・・
・・・そこで、人間に乗り移ることにして・・・・彼女に乗り移ったと思うワケ・・・。これは、あくまでも私の想像だけどね・・・。
彼女に乗り移った後、織田家に復讐しに来たが・・・何かトラブルに遭って力尽き倒れた・・・そう思うワケ。
・・・しかし、そうなると一連の殺人者は・・・・?」
「・・・あの「織田ほたる」?・・・彼女が?・・・」
美神は目を見開いてエミを見つめる。
「でも彼女・・・犯人の匂いがしなかったわよ?確かに怪しかったけど。」
「そこなワケ。私も全然気付かなかったし・・・もしかして犯人はもっと別なやつ?
・・・だとしても彼女に乗り移ったのは絶対にルシオラと違うと確信しているワケ。」
美神は少し安心したのか、ふ〜と息を吐く。
「そうね。・・・そうよね。そんなわけないわよね・・・。」
そう呟くと、エミに向かって「ありがと」と恥ずかしそうに少し顔を赤くした。
「な・・・なにを急に・・・べっ・・・別に私は・・・」
エミは顔を真っ赤にしてあさっての方向を見る。
美神はフフフと笑った。
でも実際に助かったと感じていた。
戦っている途中でルシオラの事を持ち出されたて、スキを見せたらそれこそ致命傷になったかもしれない。
これで少しは心構えができる。
ほたるがルシオラにしろ、犯人の魔族にしろ、彼女に別な人格があることを知ことができた。
これは大きい情報だ。
急いでこの情報を持って来てくれたエミに感謝をする美神であった。
(・・・ママのところに持って行かずに私に見せたら情報料がパアになるかもしれないのに・・・でもほんとうに助かったわ・・・ありがと・・・エミ。)

美神は気を取りなおして、元気よくシロ達に振り返った。
「さて、行くとしますか。シロ、タマモ。ほら、準備をして!」
「・・・は〜い。」
ちょっと元気のない声が返ってくる。
よく見ると・・・シロのしっぽが焦げていた。
美神は首を傾げる。
「・・・なにをしていたのあなた達・・・?」
「ちょっとね・・・危険な罰ゲームをね・・・。」
いやし笑いをしてタマモが返事をする。
美神は溜め息を吐く。
「・・・別にいいけど今から乗り込むからね・・・ほら荷物を持って!」
タマモは「はいはい」と呟いてシロに振り向く。
「・・・ほら、シロ。ふて腐れてないで行くわよ。」
シロはなにやら下を向いてぶちぶちと呟いてた。
「・・・絶対インチキでござる。・・・なんで赤ばっかり拙者に集まるのでござるか・・・」
美神はしょうがない子達ねと呟いて「ほら行くわよ」と促した。
そして、屋敷を一瞥してから門を両手で開けた。

現在は午後2時をまわったところ・・・庭には薔薇が美しく咲いているのが見える。
その薔薇園の中心に噴水があり、暑い日差しに輝いていっそう庭の美しさを引き出していた。
「結構大きな屋敷ね・・・。庭の手入れは誰がしているのかしら?」
美神は庭の大きさと整った美しさに感心しながら歩く。
その隣りを帽子を片手で押さえながら冥子が歩いている。
「あの薔薇〜綺麗〜。取っても良いかしら〜。」
「駄目に決まっているでしょ。我慢しなさい。」
美神は苦笑する。
冥子は少し暗い顔をする。
「フミさん元気でやっているかしら〜。」
「大丈夫でないの?昨日も連絡があったのでしょう?」
「そうなんだけど〜。」
冥子はなんだか不安を感じるのか美神の腕を取る。
「令子ちゃん。一緒にいこう。」
美神は溜め息を吐く。
「なに言っているの・・・今、一緒にいるじゃないの・・・」
・・・
その二人の後を大きなリュックを背負ったシロとタマモが歩いてくる。
「なんだか変ね・・・」
タマモはあたりを見渡しながらみんなに聞こえないように呟く。
「シロ・・・気付いている?」
「・・・ああ・・・誰かに見られている感じがするでござるな・・・」
シロも美神達に聞こえないように小声で答える。
タマモは正面の屋敷を細目をして見る。
「このまま気付かない振りをしているほうが正解かしら?」
「なんとも言えないでござるが・・・敵意は無いでござるな。」
「そうね。ほっとこ。」
シロとタマモは気にするのを止めて綺麗な庭を見ながら歩くことにした。
・・・
その後を少し離れてエミが庭を見ずに下を向きながら歩いてくる。
(・・・ここに来るのは5年ぶりなワケね・・・やっぱり帰ろうかしら。小梅師匠に会うのはまだ不味いワケ・・・)
エミは足取りが重たかったがこのまま帰るわけにはいかないと思いながらみんなの後に続く。
そんな思いを抱きながら五人は何事も無く屋敷の玄関に着いた。
美神は深呼吸をして後ろを振り返り、みんなを順番に見てから宣言するように呟いた。
「・・・今から行くわよ。準備はいい?」
そして、玄関の呼び鈴を押した。

「真実」(4)終わり
「真実」(5)に続く。


う〜む。書くペースが早い。どっかの誰かさんに感化されたかも。
でもさすがに50話は・・・。

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