ザ・グレート・展開予測ショー

THE MOVIE「踊るゴーストスイーパー」10−3


投稿者名:3馬鹿鳥男
投稿日時:(00/ 8/18)

第10章 「真実」(3)

エミは気を取りなおして、美神に茶色の封筒に入ったある書類を渡した。
「はい、これ」
美神は首を傾げる。
「なに?・・・あっ・・・これは「織田ほたる」に関する報告書じゃない。よくこんな短時間で調べられたわね。」
エミは読んでみてと促す。
「いいの?・・・ママに出さなくても?・・・まあ見せてくれるのならそれでありがたいけど・・・」
美神はその報告書を読み始めた。そして、その内容に愕然とする。
「なによ・・・これ・・・本当のこと?」
エミは織田家の屋敷を見ながら肯いた。
「私も彼女のことを調べたらびっくりしたワケ。・・・彼女、全然霊力もない普通の人間・・・
しかも、捜索願いが警察に出されているから笑ってしまうワケ。」
「でも・・・彼女は魔族を従えているのでしょう?」
「ええ・・・」
エミは真剣な表情で美神に振り向き肯く。
二人はしばらくお互いを見つめた。・・・その隣りで冥子はきょとっとしていた。
「あの〜。令子ちゃんにエミちゃん・・・私も仲間に入れて〜。」
美神達はもちろん無視をする。
美神はもう一度、自分の手元にある報告書を読んでみる。
「・・・「織田ほたる」・・・本名「相川 めぐみ」16歳・・・3年前に交通事故に遭い、昨年まで意識不明の昏睡状態で入院をしている・・・。」
エミは失笑をする。
「笑ちゃうワケ。芸名が本名なんだもの。」
美神は続ける。
「1年前の7月に突然病院から失踪する・・・以後行方不明・・・両親は3年前の事故で死んでいるため今の保護者は彼女の叔父・・・」
「その叔父っていうのが、あまり真剣に彼女を探しているわけではないワケ・・・一応捜索願いは出しているみたいだけど・・・。」
美神はエミをちらっと見てから、手元の彼女の捜索願いの写真を見る。
そこにはショートカットの少女がベットで眠っている様子が写してあった。
「これ・・・いつの写真?」
「去年の6月・・・彼女の誕生日のときらしいワケ。」
美神は目を見開いてエミを見る。
「でも彼女・・・今は腰まで長い髪をしている・・・おかしいじゃない。1年間であんなにも伸びないわ。」
「ええ・・・でも突然髪が伸びる現象が起こったとしたら?」
美神は首を傾げる。
「髪が突然伸びる現象?」
エミは腕を組んで肯く。
「そう・・・令子。・・・彼女が入院していた病院の住所からなにか想像しないワケ?」
「・・・あっ・・・これ・・・東京タワーの近くじゃない・・・」
「そうなワケ・・・また彼女が失踪した日付が・・・」
「あのアシュタロスの反乱の日ね・・・」
美神はしばらくじっとしていたが、静かに報告書を封筒に入れエミに返した。
エミは封筒を受け取り、黙って鞄に入れる。二人はそのまま沈黙をし、屋敷を見た。

そのころシリアスな二人をよそに残りの三人は、門から道を挿んで反対側にある大きな木の下でビニールシートを敷いて寛いでいた。
「タマモちゃん〜。ポッキーを取ってくれる〜?」
「・・・はい。・・・じゃあ、赤ね・・・ほれシロの番よ。」
「ちぃっ・・・タマモはすぐに色を換えるでござるな・・・スキップのカードで・・・」
「あ〜。また順番飛ばされた〜」
「シロ・・・ポテチ頂戴・・・グリーンでウノ・・・」
「私〜まだ1枚も出していない〜。」
「しかし、いつまであの二人はあそこ(門)で立ったままいるのかしら?」
「なにやら深刻そうな話をしているでござるけど・・・わけわからんでござる。・・・冥子殿の番でござるよ。」
「やっと出せる〜。じゃあ〜。ワールドカードで〜。黄色〜。」
「きゃあ。なにをするのよ。・・・4枚取ったわよ・・・シロ?」
「うん?・・・いや・・・あの二人がこちらを向いて睨んでいるでござるから・・・はいリターン。」
「でも・・・今回の罰ゲームはアンチラの電撃1分間耐久だからね・・・こちらも真剣と・・・」
そんな3人をジト目で見ていた美神は溜め息を吐く。
「もう・・・遊びで来ているわけでないのに・・・」
エミも苦笑する。
「いいじゃないワケ・・・ほっとけば?」
「そうだけど・・・じゃあエミの結論は?」
美神はエミに振り返る。
エミは再び屋敷を見る・・・。
「私の結論は、何者かが昏睡状態のほたるに・・・意識の無い人間に霊力の強い霊体が乗り移ったのではないかということなワケ。
・・・髪が伸びる現象は、強い霊力を人間(物)がもらうと髪が伸びるという報告があるわ・・・獣の槍とか・・・おキク人形とか・・・
その副作用じゃないかと思うワケ。」
美神は目を開く。
「獣の槍?なによそれ・・・まあいいわ。それは私も思ったわ・・・問題は何が乗り移ったかよね。」
エミは美神に振り向く。
「あのとき・・・アシュタロスの妨害でほとんどの霊体が自由に動けないでいたワケ・・・動けたのは悪霊とアシュタロス側の魔族だけ・・・」
「そうよね。でも悪霊ではないわね・・・彼女、しっかり自我があったものね・・・」
「そう・・・じゃあ魔族ってワケ?・・・あの場所・・・あのときに彼女に乗り移らないと生けなかった魔族?」
美神はよりいっそう目を見開いた。
「・・・まさか・・・ルシオラ?・・・まさか?」
美神はあまりくわしくは聞いていないが、横島から東京タワーの出来事を多少なり聞いている。
あのとき彼女は霊体構造のほとんどを横島に与えたために滅んだ。
でも・・・あれだけの霊力を持っていた彼女だ・・・。もしかしてなにかの拍子に・・・なにかを媒体として・・・
例えばルシオラの念を込めた物を通じて霊力を残していたかもしれない・・・
ましてやルシオラは霊物体製作者(クリエーター)としての能力を有していたはず・・・。
美神は自分の出した結論に愕然とし、そして・・・否定をした。
(・・・そんなわけわはいわ・・・そんなわけないじゃない!。ほたるが・・・ルシオラの魂を有しているなんて・・・)

真実(3)終わり
真実(4)に続く。

さて、次回は屋敷に乗り込みです。どうなることやら・・・。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa