ザ・グレート・展開予測ショー

THE MOVIE「踊るゴーストスイーパー」10−2


投稿者名:3馬鹿鳥男
投稿日時:(00/ 8/15)

第10章 「真実」(2)

フリルのついた黄色のワンピースに、大きな水色のリボンが付いた帽子を被った冥子は、
優雅にインダラに乗り、肩にはクビラ、膝の上にアジラを乗せていた。
「あれ〜。令子ちゃんだ〜。こんなところで何しているの〜。」
まるで林の小道を散歩している富豪のお嬢様ように美神に声を掛けてくる。
その緊張のかけらもない笑顔に美神は溜め息を吐く。
「・・・なんで冥子・・・あんたがここにいるのよ・・・」
「あのね〜。冥子はフミさんを連れ戻しに来たの〜。令子ちゃんも手伝ってくれる〜?」
「・・・私はここへ遊びに来ているわけではないのよ・・・それにフミさんって誰?
・・・もしかして六道家でメイドをしながらゴーストスイーパーの修行をていた女性?確かそんな名前だったよね・・・。
なに彼女、家出でもしたの?」
「ううん。そうじゃないけど・・・・」
冥子は令子の後ろの二人を見た。
シロとタマモは冥子の視線に気付き挨拶をする。
「こんにちはでござる。また今年もあの臨海学校をするでござるか。」
「ちわ〜。そうよね。海はいいけどあの除霊は辛いわよね。まさか今年は山?」
「こんにちは〜。確かシロちゃんとタマモちゃんよね〜。いいな〜みんなでピクニック?・・・おかしある?」
冥子は羨ましいそうに令子を見た。
令子は目を吊り上げる。
「あんたはほんとに人の話しを聞かないよね。仕事で来ているっていったでしょ!」
「う・・・令子ちゃん・・・恐い」
冥子は美神の怒鳴り声を聞いたとたん泣きそうになる。
「うわ〜!、冥子。泣いちゃだめよ。・・・ビカラを出すな〜!サンチラが〜」
「いだだだだ。こいつ電撃を出して来るでござる。」
「きゃあ〜。真友君に買ってもらった服が破ける!なにをするのよ!」
美神は慌てて冥子の側に行く。
「冥子・・・ほら、落ち着いてね。」
「怒っていない?」冥子はぐずりながら上目使いに見る。
「怒っていない。怒っていない。ほら、ね。」
美神は引きつった笑顔をした。
冥子にこんなところで暴れられたら大変だ。敵に悟られてしまう。美神は必死で慰めることに専念した。

美神は冥子が多少?暴れた程度で落ち付いたのを待ってから、再度屋敷に向かって出発した。
冥子もあの屋敷に用事があるとかで美神達と同行する。
美神はシロとタマモが美神達からずいぶん後方まで離れて付いてくる苦笑して見てから、冥子にあの屋敷の用事について訊ねた。
「・・・ところで冥子。どうして織田家に?」
「あのね〜。お母様の頼みで〜フミさんが行っているの〜でも冥子、フミさんのプリンが食べたくて〜・・・」
冥子の話をまとめると、
2ヵ月前、ICPOから六道家に織田家へ監視者・・・平たくいえばスパイをメイドとして送り込んでほしいとの要請があった。
そこで六道家はメイドの心得もあり、ゴーストスイーパー見習いのフミを織田家に出した。
でも先週、そのフミから織田家の当主が何者かに襲われたとのこと・・・そして昨日、怪しい男が屋敷にしたらしいと連絡が入った。
六道家はICPOからもう危ないのでフミを待避させるようにとの連絡を受け、冥子を派遣した。
冥子としてはフミがよく作るプリンが食べたくなり、戻ってくるようにと迎えに行くつもりらしい。
美神はしまったと感じていた。
(ママは最初から織田家が怪しいと感じて監視者を送っていた・・・で、先週動きがあった。
やられたわ。ママは私たちを餌に犯人(魔族)をおびき出そうとしている。
・・・しまった。車を隠す意味がないわ。もうそのフミさんから餌(横島君)が屋敷に入ったことが連絡されている・・・
ということはICPOがこちらに向かっていることになる・・・・。
・・・・1億円がパーだわ。・・・しかも自分達は餌・・・ママ・・・おぼえてらっしゃい。)
このまま横島やおキヌを犠牲して帰れない自分に悔しい思いをしながら、美神は屋敷に向かって歩いた。

その屋敷は遠くで見た時も思ったが、近くで見ても昼間なのに何か異様な感じがする。
美神はシロとタマモを呼び寄せて訊いた。
「どう、魔族やなにかが潜んでいそう?」
「う〜む。あまりにもうさんくさすぎてわからないでござるよ。」
「そうね。血の匂いもかすかにするし、雑霊が森に溜まっていて、そちらに気配を取られるのも気になるし。」
「そうでござるな。森の雑霊もこの屋敷には近づこうとしないでござる。」
「でも・・・やはり霊力の強い精神体が屋敷にいるのは間違いなさそうね・・・」
「タマモもそう感じるでござるか・・・」
美神は「結論は」と訊ねる。
「そうね・・・この屋敷は強い霊力をもったヤツのテリトリーってことかしら・・・どうも結界は張っていないみたいだけど・・・」
「それだけ?」
「今は・・・ね」
美神は仕方ないわねと呟いて、正面の門に向かう。
すると、織田家屋敷の門の前でバイクにまたがっている長い黒髪の女性に気付いた。
彼女はじっと屋敷を眺めて動こうとはしなかった。
「・・・エミ・・・あなたなんでここに?・・・よくここが解かったわね。」
美神はエミの後ろからそっと声をかける。
エミはふっと笑ってバイクから降りてから美神に振り向き・・・・そして、ずさっと後ずさった。
「・・・なんで冥子がここにいるワケ・・・あなたたちやっぱりレズ族?」
「なんでそうなるのよ。」
美神は怒鳴る。
「けんかしたらだめ〜。冥子泣いちゃうから〜」
冥子はインダラから降りながら悲しそうに呟く。
「うわ〜やめて。お願いだから泣かないでね。」
美神とエミは同時に冥子を慰める。
「仲良くする?」冥子は微笑した。
「するする。いつでも仲良くする(ワケ)。」
やはり同時に肯く彼女達であった。
そんな三人を少し離れたところから見ていたシロとタマモは首を傾げた。
「あの三人で一番強いのは美神でなく、冥子みたいね・・・」
「そうみたいでござるな・・・一番弱そうに見えるでござるが・・・」
「やはり見かけで判断したら駄目ってことかしら・・・あの横島でさえも今世紀最強といわれているのだからわからないものね・・・」
「なに言っているでござる・・・先生は技術的にも精神的にも最強でござるよ。」
「はいはい」
タマモは真剣な表情のシロに苦笑して、再び彼女達を見た。


第10章(2) 真実(2)終わり
第10章(3)に続く。

なんだか女性ばかりですね。ここの章。
多分当分このまま女性だけ・・・。

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